活字書体をつかう

Blog版『活字書体の花舞台』/『活字書体の夢芝居』/『活字書体の星桟敷』

2016-10-01から1ヶ月間の記事一覧

読み手と語り手と4

テレビドラマのナレーターとして、まず思い浮かぶのは芥川隆行である。私が一番印象に残っているのは「キーハンター」だ。毎週楽しみにしていた。それから「Gメン’75」もそうだった。ときどきしか観なかったが「水戸黄門」、「大岡越前」、「江戸を斬る」も…

読み手と語り手と3

85歳になる私の母は、今でも朗読ボランティアの活動をしている。もう20年近くにはなるのだろう。ずっとカセットテープに録音していたので、カセットテープが数多く保存されている。最近はCDに録音するようになったので、新しい機器に慣れるのがたいへんだっ…

読み手と語り手と2

歌舞伎座での鑑賞では、私のような万年初心者にとって、イヤホンガイドは必須である(イヤホンガイドというのは登録商標とのこと)。こちらも台本があり、あらかじめ録音したものだそうだが、オペレーターの機器の操作により、場面場面に合わせてタイミング…

読み手と語り手と1

きょうのTBSラジオ「生活は踊る」で、現在、東京都美術館で開催中の「ゴッホとゴーギャン展」のナレーションガイドが話題になっていた。このナレーションガイドの作品解説を担当しているのが、「生活は踊る」のパートナー、堀井美香アナウンサーなのだ。 声…

空気のはなし9

一般に「空気のような」という比喩は、いい意味で使うことは少ないようだ。「いるかいないかわからない」とか「存在感のない」とか「目立たない」とかいうマイナスのイメージで捉えられることばである。 「なくてはならない」、あるいは「安心感のある」とい…

空気のはなし8

和語に空気そのものにあたる語彙はない。そのかわりに、人が感じることばがある。においであったり、肌触りであったり、景色の見え方であったりする。 空気の純粋な成分以外の邪魔な物質をのぞいたときに、人は心地よく感じるのである。よけいなことをしては…

空気のはなし7

空気は無色透明なので見ることはないが、首都圏では富士山が見えるかどうかというのが空気の透明度を知るための目安になっている。東京都では、都庁から見える富士山の日数を公表しているそうだ。空気中のちりが少なければ、見通しがきく距離が大きくなるの…

空気のはなし6

室内の空気調整について実用的なのは「空気清浄機」だろう。20年以上前になるが、気管支ぜんそくになりかけたとき、通信販売の広告を見て安価な空気清浄機を買ったことがある。ペットは飼っていないし、タバコも吸っていないが、ハウスダストやカビには効果…

空気のはなし5

1960年代には「大東京名物 空気の缶詰」が東京タワーで売られていたという。当時、東京などの都市部では、自動車の排気ガスや工場からの排煙による大気汚染の問題が深刻化していた。そんな都会の汚れた空気を詰め込んで東京名物にしようというブラックジョー…

空気のはなし4

空気は、約78%の窒素と、約21%の酸素と、約1%のアルゴンのほか、少量の二酸化炭素、ネオン、ヘリウムなどの微量成分で構成されている。このなかには人為的に排出される成分があり、これがやっかいなのだ。 ことしはじめに北京でPM2.5という汚染物質の濃度が…

空気のはなし3

空気は味覚では感じないが、そのかわりに肌触りとか臭いで感じることになる。湿度や温度も影響するのかもしれない。昼間より早朝の方が清々しく感じる。都会の真ん中の空気よりも、山の中の空気の方が心地よい感じがする。 私の実家は山あいの静かな集落にあ…

空気のはなし2

「空気」の流れる状態を「かぜ(風)」という。「かぜ(風)」の名前は多い。「こち(東風)」は東の方から吹いてくる風で、春の季語である。「はえ(南風)」はとくに西日本での南からの風のことで、夏の季語になっている。「きた(北風)」は冬の季語だ。…

空気のはなし1

「空気」は漢語である。すなわち中国からの外来語だ。「エア(air)」は英語からの外来語だ。「空気」や「「エア」にあたる和語は何か考えてみたが、ついに思い当たらなかった。米や水のように目に見えるものではないので、言い表す必要がなかったのだろう。…

水のはなし9

水道水は軟水である。硬水にくらべると口当たりがまろやかで飲みやすく、のどごしも柔らかい。その軟水の度合いも浄水場ごとに異なっているようだ。都道府県別の水道水の硬度をまとめたウェブサイトを見てみたら、子供の頃を過ごした岡山県と、今住んでいる…

水のはなし8

水を味わって飲むということはほとんどなかった。ノドをうるおして渇きをなくすためというだけで、水に味があるなんて考えもしなかった。ミネラルウォーターが登場してきて、水には味があることを知った。水には数多くの成分が含まれていて、それが味となっ…

水のはなし7

水道水は「水道法」によって水質基準が定められている。ミネラルウォーター類は「食品衛生法」で成分規格と製造基準が定められている。つまり適用される法律が違っているということのようだ。水道水でも容器入り飲料水として販売されているものはミネラルウ…

水のはなし6

坂戸、鶴ヶ島水通企業団では年二回「さかつる水だより」という広報紙を発行している。2016年秋冬号の「さかつるちゃんの、教えて!水道教室」のコーナーは、水道水とミネラルウォーターがテーマだ。その記事の中で、水通企業団が昨年のイベントで実施した「…

水のはなし5

ツアーで外国に行ったとき、生水は飲まないようにと注意される。食事の際には、ミネラルウォーターを注文しなければならなかった。水を買うのかとそのときは不思議に思ったが、わが国でもコンビニエンスストアやスーパーマーケットでミネラルウォーターが売…

水のはなし4

ある日のこと、実家近くの原野でボーリングが始まった。こんなところで温泉など湧くことはないだろうと思っていたが、案の定、数年すぎても温泉が湧いたという話は聞かなかった。ところが、執念というか、とうとう鉱泉(温度が低かったようだ)を掘り当てた…

水のはなし3

水道は地元の人たちが共同で引いた簡易水道だった。川のほとりに小さな施設があったのをおぼろげに覚えている。簡易水道とはいえ、一般の上水道と同じ基準の水質が保たれていたのはいうまでもない。 いつのころだったか、その簡易水道にかわって、町営の上水…

水のはなし2

私が子供の頃、実家の台所には井戸があった。農家の台所は土間であった。水道ができる前までは、飲み水として使っていたのだろう。水道ができてからは、なにかしら生活用水として使っていたと思う。 井戸のある台所はわりと好きだった。手動式のポンプでくみ…

水のはなし1

よく行く「山田うどん」や「ぎょうざの満洲」など、大衆的な食堂ではテーブルごとに氷の入ったポットが置いてあって、セルフサービスで自由におかわりができる。ファミリーレストランの「ジョイフル」でも水だけなら無料である。とにかく水を多く飲んでいる。…

米のはなし9

実家でむかし所有していた田地では、今も変わらず稲作が行なわれている。三〇年ほど前に農地改革が行なわれて、広い道が付けられ、田地は長方形に整理されて農業機械が使いやすくなっている。かつては兼業農家で細々と作っていたが、ある専業農家の方が農地…

米のはなし8

澁谷梨絵さんは「お米マイスター」とともに、「ごはんソムリエ」でもあるという。外食産業向けに米飯を提供する事業者によって設立された団体、日本炊飯協会が認定する資格が「ごはんソムリエ」である。 日本炊飯協会ホームページによれば、「お米の産地や銘…

米のはなし7

TBSラジオの「生活は踊る」で、「お米マイスター」の澁谷梨絵さんが出演されていた。「お米マイスター」とは何か気になったので調べてみた。全国のお米屋さんによって組織された団体、日本米穀小売商業組合連合会が認定しているのが「お米マイスター」と…

米のはなし6

かくいう私は、普段は近くのスーパーマーケットで、「あきたこまち」や「ひとめぼれ」など全国各地の「ブランド米」のなかから、特売になっているものをそのときの気分で買ってきている。味の違いも区別がつかないし、それほど気にしたことはない。 実家でも…

米のはなし5

当時わが家(実家)で作っていたのは「朝日米」だったと思う。あとで知ったことだが、「朝日米といえば岡山」といわれるほど、岡山県を代表する米だったそうだ。よく知られている銘柄の「コシヒカリ」「ササニシキ」「あきたこまち」なども、品種改良をたど…

米のはなし4

いくらいい米をつくっても炊かなければ食べられない。子供の頃はまだかまどで炊いていたが、電気炊飯器ができて、ずいぶん楽になったことだろう。もっとも当初は欠陥品も多く商品テストで不合格になるものがあったと、NHKの朝のドラマでやっていた。 きょ…

米のはなし3

高校の夏休みには部活の合宿があった。高校の中に金剛寮という宿泊施設があって、そこで一週間ほど生活を共にするのだ。そのときには各自が米を持って行くことが決まりだった。田舎のことなので、ほとんどの家庭で米を作っていたのだ。 米は作るものであって…

米のはなし2

稲刈りの時期に「農繁期休暇」があったかどうか忘れてしまったが、稲刈りには駆り出されていたのは確かだ。鎌を使って手作業で刈り取るので、子供でも腰が痛くなったという記憶がある。 稲刈りだけではなく、一年中手伝いをしていた。子供の頃には農耕牛を飼…