米のはなし3
高校の夏休みには部活の合宿があった。高校の中に金剛寮という宿泊施設があって、そこで一週間ほど生活を共にするのだ。そのときには各自が米を持って行くことが決まりだった。田舎のことなので、ほとんどの家庭で米を作っていたのだ。
米は作るものであって買うものではなかった。作るものであると同時に食べるものであった。決して裕福ではなかったが、白米は贅沢品ではなかった。米と野菜は十分にあった。ご飯さえあればよかった。たらふく食べていたので、食生活は満足だった。
中学校までは給食なので主食はパンだったが、高校は弁当を持っていった。その弁当といったら、いわゆる日の丸弁当だった。小さなスペースに、卵焼きとかソーセージが添えられている程度のものだった。太るはずである。