活字書体をつかう

Blog版『活字書体の花舞台』/『活字書体の夢芝居』/『活字書体の星桟敷』

指定の文章に適した書体を選択する試み

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『PRE Media 12』(株式会社印刷出版研究所発行、1999年9月)には、「立体特集 四六判を斬る!」という記事が掲載されている。その中で、指定された文章を7人のグラフィック・デザイナーが参加して組版実験を行なっている(写真は抜き刷りから)。

 

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指定の文章は、片塩二朗「花あしびに寄せて」の冒頭部分。判型は四六判だが、実際の寸法はそれぞれで異なっている。制作データと制作ノートが付されている。制作データを抜粋して以下にまとめておく。

坂本繭美

痩金体21pt、(仮名18.48pt)、33字詰め×10行、字送り18H、行送り36H

守先正

本明朝L、14Q、32字詰め×14行、字送り 全角ベタ、行送り26H

白井敬尚

漢字 本明朝M、仮名 游築五号仮名3、10.5pt、38字詰め×13行、字送り 全角ベタ、行送り20H

向井裕一

JK明朝(字游工房試作書体)、14Q、34字詰め×14行、字送り 全角ベタ、行送り25H

西野洋

ILM-A(写植版 岩田細明朝体)、14Q、38字詰め×13行、字送り 全角ベタ、行送り26H

塚本昌都

本明朝L、13pt、20字詰め×10行、字送り 全角ベタ+10%、行送り25.5pt

新島実

イワタ特太楷書体、10.5pt、30字詰め×11行、字送り 全角ベタ、行送り30pt

 

このほか、同じ文章を金属活字によって組版した印刷物もあり、たいへん興味深い記事になっている。