活字書体をつかう

Blog版『活字書体の花舞台』/『活字書体の夢芝居』/『活字書体の星桟敷』

明治の青春

正富汪洋の晩年の著作に、『明治の青春 与謝野鉄幹をめぐる女性群』(北辰堂、1955年)と、『 晶子の恋と死ー実説『みだれ髪』』(山王書房、1967年)があるようだ。汪洋と与謝野鉄幹、晶子とはあさからぬ関係があるようである。
 鳳(与謝野)晶子が、先妻をおしのけるかたちで与謝野鉄幹と結婚したはなしはよくしられているが、その先妻である林滝野と結婚したのが汪洋なのである。夫人が3歳年長であった。
 この結婚には父親が猛反対し、汪洋は勘当されてしまう。汪洋はまだ学生だったので、夫人が郵便局につとめて生計をたてたそうである。また夫人の影響で文学仲間とも交わるようになたっということだ。

  父母の許るも否むも恋の炎問ふひまなしと云ひてし君

夫人に先立たれたときの追悼の歌「妻死にぬ」十首のうちのひとつである。