活字書体をつかう

Blog版『活字書体の花舞台』/『活字書体の夢芝居』/『活字書体の星桟敷』

校歌のこと

出身高校の校歌を私は気にいっている。山田耕筰の作曲で、まるで歌曲のようだ。同音がならび、どこで息つぎをどこでしてよいのかわからず、生徒にとってはまことに歌いにくい旋律だが、そこがたまらない。
 作詩は正富汪洋。汪洋は当時の詩壇の頂点にありました。その汪洋から高校の先生あての書簡がのこされていて、それはとても興味ぶかいものである。たとえば、つぎの一節。

  ともども学びの
  奥へわけ入るおもしろさ

 この「おもしろさ」という語が「卑俗にひびく」という高校の先生の意見にたいし、古典などの用例をひいて丁寧に説明されている。ほかにも「養ふ」「ゆたかに」などの語があげられている。
 高校の先生の校歌へのこだわりと、正富汪洋の奥深さがつたわってくる。