活字書体をつかう

Blog版『活字書体の花舞台』/『活字書体の夢芝居』/『活字書体の星桟敷』

日本語書体三傑について

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『欣喜堂 四半世紀』表紙案


日本語フォントとしては、「日本語書体八策」の第一期で制作した「龍爪」「金陵」「蛍雪」「銘石」(漢字はAdobe-Japan1-1対応)、第二期で制作した「陳起」「志安」および現在制作している「武英」「方広」(漢字はAdobe-Japan1-3対応)の計8書体(およびそのファミリー)で完結します。

 

近代の書体(近代明朝体/ゴシック体)については、すでに多くの書体が存在しており、長い時間かけて新しい書体を作ったとしても、需要が見込めないというのが現状です。本文用においてはAdobe-Japan1-7(Pr6/Pr6N)への対応が求められますが、これはもう大手のメーカーでない限りできないことです。

今後、日本語書体として制作することはありませんが、何らかの形で次の世代に継承されることを願っています。

 

近代の漢字書体の関連図をまとめてみました。

日本語書体三傑「美華」「倫敦」「伯林」

「美華」は、『旧約全書』(美華書館、1865年)をベースにしました。『座右之友』(東京築地活版製造所、1895年)所載の「五號明朝」は美華書館の明朝体を継承し、改良したものと考えられます。『座右之友』には「五號アンチック形文字」と「五號ゴチック形文字」とが掲載されていましたので、それぞれ「倫敦」「伯林」として制作しました。

日本語書体四坐「上巳」「端午

「上巳」は『中国古音学』(張世禄著、1930年、商務印書館)の本文書体をベースにして制作したより洗練されて味わい豊かな近代明朝体です。「端午」は『瞿秋白文集』(瞿秋白著、北京・人民文学出版社、1953年)の副標題書体をベースにして制作した呉竹体です。

星屑書体集成「白澤明朝」「白澤安竹」「白澤呉竹」

もともと2000年ごろに試作していた「欣喜明朝」「欣喜ゴシック」を、2015年ごろのtypeKIDSの写植文字盤プロジェクトにおいて、「白澤明朝」「白澤呉竹」「白澤安竹」として提供したものです。これに現代的なイメージを取り込んで、デジタルタイプとして試作しているところです。

 

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このうち、日本語書体三傑については、「おゝはなぶさ美華」「おゝくれたけ伯林」「おゝことのは倫敦」の大ファミリーとしての試作を展開しています。今後は、これらの組み見本などを、このブログでも発表していきたいと思います。f:id:typeKIDS_diary:20210122154730j:plain