活字書体をつかう

Blog版『活字書体の花舞台』/『活字書体の夢芝居』/『活字書体の星桟敷』

衣・裳のはなし2

会社に入ってすぐに作業衣を支給された。上着とズボンと帽子。上着は、冬服・夏服・合服、それぞれ二着。ズボンも二本、帽子もふたつ。色は濃いグレー、ボタンで留めるタイプで、まさに昭和の町工場のようであった。機械の製造部門もあったので、それに合わせてどのセクションも同じにするということなのだろう。帽子も必ず着用しなければならなかった。
 朝、始業の前に更衣室で着替える。終業時まで更衣室にはカギがかけられて入れない。遅刻・早退、あるいは社用で外出する場合には、守衛所に行ってカギを借りてあけるという面倒な手続きが必要だった。作業衣を洗濯用の籠に投げ入れておくと、数日後に戻ってくるというシステムだった。厚生課で仕分けをしやすくするために、名前を大きくわかりやすく書くことになっていた。