活字書体をつかう

Blog版『活字書体の花舞台』/『活字書体の夢芝居』/『活字書体の星桟敷』

多摩美術大学の卒業制作の日本語書体にびっくりぽん!

恵比寿ガーデンプレイスで開催されている「多摩美術大学グラフィックデザイン学科卒業制作展2016 声」へ行ってきました。主目的はtypeKIDSのメンバーでもある吉田千恵さんの卒業制作を見るためです。
まずは、教授と学生によるトークショー。卒業制作に日本語書体を選んだ動機、制作の意図やプロセスを、ほんわかとした雰囲気で聞かせてもらいました。


写真左から吉田千恵さん、丹羽彩子さん、津田浩司さん、福田はるかさん(司会)

吉田千恵さんの卒業制作は、「くきのめ」という日本語書体。漢字、和字、記号、あわせて3185字を制作しています。何がすごいかって、学生が本格的な本文用書体に挑戦したこと! 卒業制作でこれだけの字数をデザインしたこと! そして真摯な姿勢で取り組まれていることがわかる出来栄えだったこと!

下書きの全工程を保存していることにも驚かされました。下書きも丁寧です。

「字典」という名の総数見本帳。なんという厚さだ。

「組見本」も各サイズ別(縦組・横組)に作成されていました。




吉田さんのほかにも、藤原俊成の書を参考に可変幅を持つ漢字書体(800字)と和字書体を制作した杉村侑里さん、楷書の名筆に合わせた和字書体(5書体)を制作した丹羽彩子さん、夢野久作の作品を組むための和字書体を制作した福田はるかさんの作品もなかなかのものでした。ひらがなをモチーフに意欲的に表現した津田浩司さんの作品も面白い発想だと思いました。